働くことを学ぶ - 修業学習と職業陶冶

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日本における修業学習

 21世紀に入って改革が進んでいた高等教育の制度と方法は、コロナ禍を経ることによって急激に変化しました。対面授業が実施できない状況で遠隔授業が世界的規模で実施されましたが、コロナ禍の緊急事態から With corona 社会とも呼ばれる日常事態に移行するに伴って、わが国の教育は大学も含めて対面授業へと戻りつつあります。

しかし、世界の高等教育はコロナ禍をむしろ好機ととらえて、遠隔学習、e-Learning などの学習を中核とする教育制度・方法に変革している事例が多くみられるようになってきました。世界的規模ではUniversity of the Peaple のように億単位の人数の学生に無償の大学教育を提供しようとするものから、大学型高等教育(OECDの分類で ISCED 5A) とは異なる非大学型高等教育(ISCED 5B) を充実して大学型高等教育に比肩できる高等教育として教育の民主化を図ろうとする事例なども見られるようになりました。

 わが国においても海外の事例に学びながらも「先輩に学び、同僚と学び、後輩からも学び、そして国内外の事例に学ぶ」、「いつまで経っても半人前」というわが国の職人気質の職業陶冶を基盤とし、成人(18歳)になれば経済的に自立できる社会を目指したわが国独自の高等教育を構想できるようになりました。非大学型高等教育についてはわが国の整備が遅れていることが目立ちますが、情報通信技術(ICT)の普及に伴ってその実現可能性をイメージすることができます。

 

文責:NPO 学習開発研究所理事 西之園晴夫(2022,12,10)