働くことを学ぶ - 修業学習と職業陶冶

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フランスの修業学習

フランスでは上層階層と労働者階層とのあいだに深い溝があり、職業教育は《廃車場への道》とも呼ばれて社会的に低い評価を得ていましたが、これを《卓越性への道》に改革することを目指しています。これまでの社会階層を反映していた中等教育の複線型教育制度を1975年のアビ改革で単線型教育制度に改革し、すべての国民が中学校 (コレージュ) から高等学校 (リセ) へと進学し、中等教育修了資格であるバッカロレアも職業バッカロレア、普通バッカロレア、工科バッカロレアとして広く高等教育に進む道を拓きました。さらに2010年を過ぎてからはオランド大統領のもとで当時のマクロン経済・産業・デジタル大臣が職業教育の近代化に力を入れ、従来の職業教育のイメージを払拭することに努力しました。大統領に就任したのちも一層の改革を推進していて、現在矢継ぎ早にさまざまな提案がなされたり新しい法案が成立したりしています。

このような状況を紹介したいと考えて翻訳し始めたのが「マクロンによる修業学習 (L’apprentissage selon Macron)」です。フランス語からは長らく遠ざかっていましたし、訳語には辞書にないものを考えなければならなかったので、フランス会館関西-京都の講座に参加して、滞日6年で日本語の流暢なラファエル・ラフィト講師の助言をえて訳語を確定したものも多くあります。なお、修業学習としたのは16-25歳に限定した若者に安定した職業と将来展望を提供することを目的としており、年齢層がドイツの文豪ゲーテの「ヴィルヘルム・マイスターの修業時代」に対応することと、apprentissageが英語のlearningに対応しているので修業学習としました。直接の教師は職場の先輩であり、YouTubeであり、大規模公開オンライン講座MOOCです。これらが修業生研修センターCFAで統合されています。