働くことを学ぶ - 修業学習と職業陶冶

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2.3 スイスの中等教育Ⅱのシナリオ

更新日: 2022/09/21

 図3に示しているのは初期職業陶冶段階の資格取得者の2019年までの年次的人数です。これは若者たちに職業陶冶が高等教育に進学するルートとして広く受け入れられていることを物語るものであり、スイスの高等教育改革の思想を読みとることができます。

図3 中等教育Ⅱの初年次の生徒数(2020.5)

 

図4に示すように2029年までのシナリオによると初期職業陶冶の生徒数は他の校種と比較して増加傾向にあります。初期職業陶冶には中等教育Ⅰ(わが国の中学校相当)段階で入学しますが、この段階で最終的な職業を確定することはきわめて難しいのでコースを転向するための措置がなされています。

 スイスの教育制度の全体的組織図を本文末の付図に示していますが、中等教育Ⅱの段階で伝統高校、一般文化学校、初期職業陶冶の系列に進学し、高等教育への進学資格である普通マチュリテ(成熟証書)、専門マチュリテ、職業マチュリテを取得することを目指します。これはわが国の高等学校段階に相当していますが、この段階で職業に従事している者が多いことを示しています。しかし中学校に相当する中等教育Ⅰ段階を修了する時点や中等教育Ⅱ段階で生涯の職業を確定することは困難ですので、中等教育ⅠとⅡ段階を修了して高等教育に進む段階まで進路変更措置と補習職業陶冶のコースが用意されています。スイスでは修業学習制度(従来は徒弟制度と訳されていた)には、かつては14歳でこの制度に参加することができましたが、現在は15-16歳からです。転向も含めて親と本人の合意で修業学習に入りますが、そのときの進路を決定するために職業分野としてどのようなものがあるか、あるいは実習をする施設にどのようなものがあるかの進路案内サイトが準備されています。NPO学習開発研究所のホームページのサイトxiiで日本語訳したものにアクセスすることができます。修業学習期間の就職は企業の意向を反映したものではなく、職業陶冶を通しての個人の成長が優先されます。

図4 中等教育Ⅱのシナリオ

 

 中等教育Ⅱの2020-2029年のシナリオは図4と図5に示す通りです。この両者の図の人数を比較すると約1割の若者が転向コースを利用することが予定されています。なお、スイスの人口は870万人(2021)であり、わが国の人口12,610万人(2021)の6.9%に相当し、大阪府の人口885万人にほぼ匹敵するので、その規模が想像できるでしょう。

図5 中等教育Ⅰ-Ⅱの転向生徒数のシナリオ

xii もう少し詳細なものがNPO学習開発研究所のホームページの「働くことを学ぶ(旧 働きながら学ぶ)」から調べることができる。ただし具体的な実習先の内容については多岐にわたるので日本語訳はしは用意していない。
https://oj-learning.org/country/category/content/91