働くことを学ぶ - 修業学習と職業陶冶

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あらまし・目次

更新日: 2022/09/21

 特定非営利活動法人学習開発研究所(ILD) 

あらまし:1966年の国連決議で無償の高等教育を実現するという理想を掲げましたが、わが国では低額の高等教育を実現する試みとしての教育研究はまだ十分に扱われておりません。世界的に見ますと非大学型高等教育(i)の考え方が経済協力開発機構(OECD)で採り上げられ、スイスでは従来のDay-release方式(ii)の修業学習に高等教育への道を拓(ひら)くことによって若者の進路として魅力あるものに変えました。職場でのSandwich方式(iii)の非大学型高等教育に、卓越性(excellence)、手腕(savoir-faire)、人としての存在知(savoir-être)の理念を掲げて、従来の訓練方式に代わって学習者の自律的学習と主体性を基盤とする高等教育レベルの職業陶冶(とうや)の新しい道を拓きました。

キーワード:非大学型高等教育, 職業陶冶, 修業学習, スイスの教育

目次
1. はじめに

2. わが国とスイスの中等教育Ⅱ(後期)の特徴

3. スイスの高等教育制度

4. 映像に視る職業陶冶の実態

5. 日本とスイスの労働生産性と大学ランキング

6. 非大学型高等教育の概念

7. おわりに

付図_スイスの陶冶制度の組織図 


i 非大学型高等教育(ISCED 5B):OECD 世界の教育改革 4 『OECD教育政策分析』「非大学型」高等教育、教育とICT、学校教育と生涯学習、租税策と生涯学習 御園生純、稲川英嗣(監訳)、高橋聡他5名訳、明石書店 2005=2011 

ii Day-release方式:ヨーロッパの徒弟制度の時代から若者の職業教育の一端として行われてきた週に1-2日間(多くの場合1日だけ)職場を離れて教育を受ける制度 

iii Sandwich方式:一般に高等教育レベルでの職業教育で6か月職場で働き6か月教育機関に通って勉強する制度